プラダンとは?発泡ポリエチレン緩衝材と併せて設計して、通い箱を作ろう!
2025.10.30

物流や部品搬送の現場でよく耳にする「プラダン」。
正式にはプラスチックダンボール(プラダン)と呼ばれ、軽量で耐久性に優れた梱包材・養生材として多くの企業で採用されています。
しかし、プラダンだけでは保護性能が不十分な場面もあり、発泡ポリエチレン(PEフォーム)との組み合わせが重要になります。
本記事では、プラダンの基礎知識から、発泡ポリエチレンとの併用による効果、そして設計事例までを分かりやすく紹介します。
1. プラダンとは?
プラダンとは、ポリプロピレン(PP)を主原料とした中空構造のシート材です。
見た目はダンボールに似ていますが、紙ではなく樹脂製であるため、耐水性・耐久性に優れています。
【構造】
内部がハニカム(中空)状になっており、
軽量ながらも高い剛性を持ち、衝撃を分散する構造になっています。
【主な特徴】
- 材質:ポリプロピレン(PP)
- 厚み:2mm〜10mm程度が一般的
- 比重:約0.9(軽量)
- 表面:滑らかで印刷やシール貼付も可能
2. プラダンのメリット
プラダンが多くの現場で支持される理由は、そのコストパフォーマンスと再利用性にあります。
① 軽くて丈夫
同じサイズの紙ダンボールに比べて重量が約1/2程度。
それでいて耐衝撃性・耐久性が高く、繰り返し使用可能です。
部品搬送や社内物流など、通い箱用途に最適です。
② 水や油に強い
プラスチック素材なので湿気や油分を吸収せず、カビや腐敗の心配がないのも大きな利点。
工場ラインや屋外保管など、水気の多い環境でも安心です。
③ 加工が容易
カッターで簡単にカットでき、抜き加工・曲げ・溶着・リベット止めなどの二次加工も容易。
小ロットから特注サイズまで柔軟に対応できます。
④ リサイクル性が高い
ポリプロピレンはリサイクルが容易で、環境対応資材としての評価も高まっています。
3. プラダンのデメリット
万能に見えるプラダンですが、使用環境によっては弱点もあります。
① 擦れに弱い
表面硬度が低いため、金属や硬い樹脂部品との擦れでキズが付きやすい点があります。
部品表面の美観を保ちたい場合は、内装に緩衝材を追加するのが有効です。
② 緩衝性能が低い
中空構造とはいえ、落下や衝撃に対して吸収性能は限定的。
精密機器や電子部品を直接入れると破損のリスクがあります。
③ 高温環境に弱い
ポリプロピレンは約80℃を超えると軟化するため、高温多湿の保管環境では変形や反りが生じることがあります。
4. 発泡ポリエチレン緩衝材との組み合わせが効果的
こうしたプラダンの弱点を補うのが、発泡ポリエチレン(PEフォーム)です。
【発泡ポリエチレンとは】
ポリエチレンを発泡させた独立気泡構造の軽量フォームで、
「PEライト」「サンペルカ」「ミラプランク」などの商品名でも知られています。
【主な特性】
- 軽量でクッション性が高い
- 弾性回復が良く、繰り返しの衝撃にも強い
- 切削・貼り合わせ・抜き加工が容易
- 帯電防止タイプ・難燃タイプなどの特殊グレードもあり
5. プラダン+発泡ポリエチレンで得られる利点
この2つを組み合わせることで、通い箱としての完成度が格段に上がります。
① 緩衝性と固定性の両立
プラダンで外装を構成し、内部に発泡ポリエチレンを仕切り材・成形インナーとして使用することで、
衝撃吸収+部品固定の両方を実現できます。
特に自動車部品・電子機器など、形状の異なるパーツ搬送に最適です。
② 軽量で持ち運びやすい
両素材とも非常に軽く、輸送コストや作業負荷を低減できます。
金属ケースや木箱の代替にも有効です。
③ 再利用・リサイクルが容易
どちらもポリオレフィン系素材のため、廃棄時の分別が容易で、環境対応型通い箱として評価されています。
④ 外観の自由度が高い
プラダンの外装色(青・黒・グレーなど)と、発泡ポリエチレンのインナー色(白・緑・ピンクなど)を組み合わせることで、
見た目も美しく整理された通い箱を設計できます。
部門別・ライン別の識別にも役立ちます。
6. 通い箱設計の具体例
| 用途 | 構造例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自動車部品搬送 | 外装:プラダン(4mm)+インナー:PEライト10mm | 繰り返し使用可能。部品形状に合わせた抜き加工でズレ防止 |
| 精密電子機器 | 外装:プラダン+内装:帯電防止PEフォーム | 静電気対策と衝撃吸収を両立 |
| 医療機器部品 | 外装:白プラダン+内装:クリーンPEフォーム | 清潔感・衛生性重視の用途に |
| 食品トレー搬送 | 外装:プラダン+内装:PEフォームライナー | 軽量・耐水性に優れる |
特に最近では、軽量で静電気対策を施した通い箱の需要が高まっています。
PEフォームには帯電防止タイプ(ピンク系)や導電タイプ(黒系)があり、電子基板やコネクタ搬送にも適しています。
7. 設計時のポイント
通い箱を設計する際は、以下の点を整理するとスムーズです。
- 収納する製品の形状・重量・数量
- 搬送距離・使用頻度(使い捨てかリターナブルか)
- 求める緩衝性能(落下高さ・耐衝撃)
- 保管環境(温度・湿度・静電気)
- 識別・管理のしやすさ(色・表示・バーコード対応)
これらの条件を踏まえて、プラダンの厚みや発泡ポリエチレンの硬度・厚さを最適化します。
当社のような加工商社では、材料選定・設計・加工・試作まで一貫対応が可能です。
8. まとめ:プラダン×発泡ポリエチレンで、軽くて丈夫な通い箱を
| 項目 | プラダン | 発泡ポリエチレン |
|---|---|---|
| 構造 | 中空(硬質) | 独立気泡(柔軟) |
| 主な役割 | 外装・保護・剛性確保 | 緩衝・固定・内装 |
| 特徴 | 軽量・耐水・繰り返し使用可 | 衝撃吸収・加工性良好 |
| 組み合わせ効果 | 軽量・保護性・再利用性の高い通い箱を実現 |
プラダン単体では実現できない緩衝性や製品固定を、発泡ポリエチレンが補完します。
両素材とも軽量・リサイクル性に優れ、環境対応型の包装設計に最適です。
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