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ここ数年、薄いゴムシートに関するご相談が明らかに増えてきました。

2026.03.25

ここ数年、薄いゴムシートに関するご相談が明らかに増えてきました。

自動車部品の軽量化、時計バンドの薄型化、精密機器の小型化など、製品設計の現場では「限られたスペースの中で、必要な機能をどう成立させるか」がますます重要になっています。そうした中で、「できるだけ薄いゴムシートを使いたい」というご要望は、以前よりも具体的なものになってきました。

ただ実際に材料を探し始めると、多くの方が「規格品として流通しているのは0.5mm以上」という同じ壁に突き当たります。


設計現場では、0.5mmを“選んでいる”とは限りません

ゴムシートで0.5mm品が使われている場面を見ると、「その厚みが必要だから採用している」と思われがちです。ですが実際にはそうとは限りません。

むしろ現場では、
「本当は0.3mmにしたい」
「可能なら0.2mmで設計したい」
「手に入る材料がないので0.5mmで妥協している」
というケースが少なくありません。

パッキン、シール材、緩衝材といった用途では、機器の小型化が進むほど、部材に与えられるスペースは厳しくなります。設計側としては、ほんの数十分の1ミリでも抑えたい。けれど材料の選択肢がなければ、最終的には設計条件そのものを見直さざるを得なくなります。

これは単純に「薄い材料のニーズが少ない」という話ではありません。
長い間、製造側の制約によって、必要な厚みの製品を安定供給しにくかったことが大きな要因です。


薄物が難しいのは、材料ではなく製造の問題です

ゴムシートは、薄くなればなるほど製造難易度が一気に上がります。

一定の厚みを保ちながら、品質を安定させること。さらに幅を広く取り、ロール状で連続供給できるようにすること。これらを両立するのは、一般的な厚みのゴムシートと比べても簡単ではありません。

特に幅1000mmクラスで厚さ0.2mmとなると、製造条件はかなり厳しくなります。厚みのばらつき、取り扱い時の変形、巻き取り時の安定性など、いくつものハードルが出てきます。そのため、薄いゴムシートについて問い合わせても、「そこまで薄いものは規格が無い」と言われてしまうことが多かったのだと思います。

つまりこれまで設計者が妥協してきた背景には、材料選定の問題というより、製造技術の問題がありました。


カレンダー製法によって、0.2mmの量産供給が可能になりました

カレンダー製法は、加熱したロールの間にゴムを通し、連続的にシート化していく製法です。プレス成形と比べて、連続生産に向いており、厚みの安定性を確保しやすいという特長があります。

この製法を適切に活用することで、幅1000mm×厚さ0.2mmという極薄ゴムシートの量産供給が可能になりました。従来であれば難しいとされていた領域ですが、製法面の工夫によって、現実的な供給体制を整えることができています。


安定した品質で、加工工程にも組み込みやすい仕様です

極薄材は「作れるかどうか」だけでなく、「安定して使えるかどうか」が重要です。

その点でも、今回の薄物ゴムシートは実務上使いやすい仕様になっています。

  • 厚み公差:±0.05mm
  • 製品形状:50m巻きのロール材
  • サイズ:幅1000mm × 厚さ0.2mm~0.5mm

ロール材での供給が可能なため、そのまま打ち抜き、スリット、積層加工などの工程に組み込みやすく、量産案件にも対応しやすい点が特長です。試作だけでなく、加工現場での取り回しまで考えたときにも、扱いやすい材料と言えます。


用途に応じて選べる4種類の材質

材質は、使用環境に応じて選定できるよう、以下の4種類を用意しています。

  • CR
  • EPDM
  • NBR
  • FKM

耐候性、耐油性、耐熱性など、求められる性能は用途によって異なります。たとえば屋外環境で使うのか、油分がある環境なのか、あるいは耐熱性を重視するのかによって、適した材質は変わってきます。

薄さだけでなく、使用条件に合わせて材質を選べることも、実際の設計では重要なポイントです。


4素材の特性と、使い分けの考え方

CR(クロロプレンゴム):バランス型の主力素材

耐熱・耐炎・耐候性を同時に満たすオールラウンダーです。どこかに特化しているわけではないけれど、どんな条件でも及第点以上を出してくれる安定感があります。屋外での使用や、熱がかかる場所での緩衝・シール用途に向いています。

EPDM:しなやかさと耐候性

EPDMの強みは、なんといっても耐候性です。紫外線・オゾン・雨水にさらされる環境でも劣化しにくく、伸びが480%と柔軟性も高め。複雑な形状にしっかり追従させたい場面で、よく選ばれる素材です。

NBR:油まわりに強い

NBRは耐油性に特化した素材で、燃料や潤滑油・鉱物油が絡む環境でのパッキン・シールといえば、まず候補に上がります。自動車の燃料系部品やオイル系シールでの採用実績も多く、実績という意味での安心感があります。

FKM:過酷な環境の最終兵器

FKMは、耐薬品性・耐熱性において他の素材を一段上回ります。強酸・強溶剤・高温環境でも安定した性能を保てるため、一般のゴムでは耐えられない条件でのパッキンとして引き合いが増えています。ただし、FKMのみ幅500mmでの供給となる点は、ご注意ください。


一般物性データ

選定で必要になる数値をまとめています。

品名素材硬さ(JIS-A)引張強さ(MPa)伸び(%)
SC-45CR459.6700
SC-60CR6210.4400
SC-70CR7011.2260
SE-60EPDM6111.8480
SNB-60NBR6112.6540
SF-60FKM609.1300
SF-70FKM709.8290
SF-80FKM8010.6260

硬さはJIS-A 45〜80の幅でカバーされています。柔らかく追従させたいのか、しっかり反力が欲しいのか、用途に合わせてグレードを選べます。


シート規格一覧

品名素材幅(mm)硬さ(JIS-A)厚み(mm)
SC-45CR1000450.3 / 0.5
SC-60CR1000600.3 / 0.5
SC-70CR1000700.2 / 0.3 / 0.5
SE-60EPDM1000600.2 / 0.3 / 0.5
SNB-60NBR1000600.2 / 0.3 / 0.5
SF-60FKM500600.3
SF-70FKM500700.3
SF-80FKM500800.3

厚み公差:±0.05mm/長さ:50m巻き


表面のエンボスが、地味に効く

このゴムシートの両面には、製造上布目状の小さなエンボスが加工が付与されます。

両面テープで接着するときや、フラットな面に比べて接着力の向上、グリップ材や滑り止めとして使う場合にも、表面のエンボスがそのまま機能してくれます。

また、フラット仕様(エンボスなし)での対応も検討が可能です。用途によって表面仕様を選びたい場合は、是非ご相談ください。


全てRoHS対応品です

電機・電子機器への組み込みを想定するとき、RoHS指令への対応は避けて通れません。

全品種(SC-45 / SC-60 / SC-70 / SE-60 / SNB-60 / SF-60 / SF-70 / SF-80)について、以下の規制物質すべてで基準値以下を確認済みです。

対象物質規制値対応状況
カドミウム(Cd)5ppm 以下全品種対応
鉛(Pb)100ppm 以下全品種対応
水銀(Hg)100ppm 以下全品種対応
六価クロム(Cr)100ppm 以下全品種対応
ポリブロモビフェニル(PBBs)100ppm 以下全品種対応
ポリブロモジフェニルエーテル(PBDEs)100ppm 以下全品種対応
フタル酸ジ2-エチルヘキシル基準値以下全品種対応
フタル酸ジブチル基準値以下全品種対応
フタル酸ブチルベンジル基準値以下全品種対応
フタル酸ジイソブチル基準値以下全品種対応


どんな用途から問い合わせが来ているのか

問い合わせの業種は、思いのほか幅広いです。デザイナー、ゴムの加工屋、学校法人、海外エレクトロ商社——一般的なゴムシートの需要先とは少し違う顔ぶれも含まれています。「こんな用途でも使えるのか」と思われる方がいれば、それだけ材料としての可能性が広いということかもしれません。

最近、特に増えているのが以下の3つです。

自動車向けでは、電動化・軽量化の流れの中で、部品の薄型化・小型化が加速しています。シール材やパッキンに使えるスペースが削られ、0.5mmでは収まらない箇所が増えてきました。設計段階から0.2〜0.3mmの極薄シートを前提にした相談が来るようになっています。

時計バンド・精密アクセサリーの分野では、外観と機能を両立させる素材選定がなかなか難しい状況があります。薄くて、しなやかで、耐久性もある——その3つを同時に満たせる候補として、極薄ゴムシートが検討に上がるケースが出てきています。

過酷な環境でのパッキン用途では、FKMの需要が目立ちます。化学薬品・高温・溶剤にさらされる現場では、金属ガスケット以外の選択肢が限られてきました。FKMの極薄シートが供給できるようになったことで、これまで諦めていた薄型シール設計が少しずつ現実になってきています。


「仕様の幅」が強みです

他社の極薄ゴムシートと比べたとき、一番の差は対応できる仕様の広さにあります。

素材(CR・EPDM・NBR・FKM)、厚みのバリエーション(0.2 / 0.3 / 0.5mm)、硬さの選択肢(JIS-A 45〜80)、表面仕様(布目エンボス・フラット検討可)。これだけの組み合わせをカバーしている製品ラインは、国内でも多くありません。


試作から試験まで、スピードで対応します

材料選定の現場では、「まず試してみたい」というタイミングが必ず来ます。

規格製品であれば試作カット品は通常1週間程度での納入対応が可能です。手元に届いたらすぐ試験・評価に入れるので、開発スケジュールを無駄に延ばさずに済みます。「試作して、試験して、仕様を決める」という流れをスムーズに回せすことが出来ます。


オーダーや特注の相談について

規格品として掲載されている品番以外にも、特注仕様への対応が可能です。詳細については別途ご相談ください。

相談できる内容の例は以下のとおりです。

  • 素材・配合レベルからのカスタム
  • 加硫仕上げ・未架硫状態での出荷の選択
  • 表面仕様の選択(布目エンボス・フラット等)
  • 少ロットでの試作・サンプル対応

設計段階での材料確認や、試作前の相談にも対応しています。まずは気軽に問い合わせてみるのが一番早いと思います。

→ 極薄ゴムシート(CR・EPDM・NBR・FKM)の詳細・お問い合わせはこちら [▶ https://gomusponge-navi.net/contact/]

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