中国アンチモン規制の実務影響|難燃ゴム押出製品の納期・価格に変化は?2025年5月最新情報
2025.05.28

アンチモンについては3/11にアンチモン規制がじんわり足元まで迫ってきている | ゴム・スポンジ調達ナビ Produced by 共ショウと、3/19にアンチモンの影響がこんなところにも | ゴム・スポンジ調達ナビ Produced by 共ショウと2つの投稿をしていますが、その後2か月経って実際の業務への影響を報告したいと思います。
3/11~5/28現在までに難燃配合のゴム押出品(ゴムスポンジ押出品も含む)を3社のメーカーでそれぞれ1点ずつ、合計3点の立ち上げをしています。こちらの製品については納期遅れや価格の改定などは、まだ影響が御座いません。納期も受注後約1か月の製作ができており、コロナ渦のシリコーンゴムやウレタンなどといった驚異的な影響はまだまだ感じることはなさそうです。
規制前と変わらずに製作ができておりますので、難燃ゴム押出品のご相談が御座いましたらお気軽にご連絡下さい。
またアンチモンについて5/21現在の情報を再度まとめます。
2025年5月28日現在、中国によるアンチモンの輸出規制は、世界のサプライチェーンに大きな影響を与えています。以下に、最新の動向とその影響について。
中国のアンチモン輸出規制の概要
中国政府は2024年9月15日より、アンチモンおよびその関連製品の輸出に対して政府の許可を義務付ける規制を実施しました。この規制は、国家安全保障や希少資源の保護を目的としており、輸出企業は最終的な利用者や用途を示し、審査を受ける必要があります。
さらに、2024年12月には、米国の軍事関連企業向けのアンチモン関連品目の輸出を禁止するなど、対米輸出管理を強化しています。
輸出規制の影響
世界的な供給の逼迫と価格の高騰
中国は世界のアンチモン生産の約48%を占めており、輸出規制の影響で世界的な供給が逼迫しています。その結果、アンチモンの価格は2024年5月の1トン当たり1.4万ドルから、2025年初頭には4万ドル近くまで上昇しました。
世界のレアメタル供給、中国による規制で歴史的低水準続く | ロイター
難燃剤市場への影響
アンチモンは難燃剤として広く使用されており、特に三酸化アンチモンはゴムやプラスチック製品の難燃性を高めるために重要です。輸出規制により、2025年初頭には三酸化アンチモンの内需が前年比で9%減少するなど、国内市場にも影響が出ています。 Chemical Daily
業界の対応と今後の展望
代替材料の検討と供給源の多様化
多くの企業が、アンチモンを使用しない難燃剤への切り替えや、他国からの調達を模索しています。しかし、アンチモンの特性を完全に代替する材料は少なく、供給源の多様化にも限界があります。
中国政府の取り締まり強化
中国政府は、戦略的鉱物の密輸を取り締まる特別キャンペーンを開始し、輸出規制の履行を強化しています。これにより、虚偽の報告や密輸、第三国経由の積み替えといった脱法行為への取り締まりが強化されています。
中国、戦略的鉱物の密輸摘発キャンペーン 輸出規制の履行強化へ | ロイター
まとめ
中国によるアンチモンの輸出規制は、世界のサプライチェーンに大きな影響を与えており、特に難燃剤市場では価格の高騰や供給の不安定化が進んでいます。企業は代替材料の検討や供給源の多様化を進めていますが、完全な解決には至っていません。今後も、中国の政策動向や市場の変化に注視し、柔軟な対応が求められます。