久々のゴム金型成型で失敗しない！“ブランク期間後の再製作”で起こりがちな問題とは？

2025.06.20

1. ゴム金型成型の基本プロセス

1. ゴム金型成型の基本プロセス

ゴム金型成型（射出成形・圧縮成形）は、金型に未加硫ゴムを充填し、圧力と熱で形状・性能を一体化させます。金型は耐圧力性・寸法精度・素材耐熱性を備え、高品質な部品製造には金型・成形条件の正確な管理が不可欠です。

2. 久々の再生産でよくあるトラブル

トラブル	詳細
寸法ズレ	金型や金型取付部の摩耗・歪みで寸法誤差が発生しやすくなります。
金型劣化	金型表面の腐食・摩耗によるフラッシュ増大・打痕などが発生します。
材料不適合	ロット更新で硬度や収縮率が変わり、成形不良やひずみの原因に。
成形不良	不足（ショートショット）・フラッシュ・バリなどが発生しやすく、製品品質に影響。

3. 使用前に確認すべき金型チェック項目

金型の清掃と洗浄：汚れ残渣が成形不良や表面異物を引き起こすため、圧縮空気や溶剤洗浄を実施
金型表面・分割面の点検：フラッシュ、へこみ、腐食などを目視点検で確認。フラッシュ増大は金型隙間の兆候です
ランナー・ゲート・エジェクターピンの点検清掃：詰まりや摩耗が成形不良原因となることが多いため、定期清掃・潤滑必須
取り付け部品・ボルトのトルク確認：取り付けの緩みや歪みから寸法ズレや成形不安定が発生します
金型乾燥・防錆措置：使用前に完全に乾燥させ、防錆剤処理で腐食抑制

4. 設計変更・材料変更時のリスクと対応

材料ロット変更による収縮差：推奨硬度・収縮率を確認し金型キャビティ設計へ反映が必要。収縮率の変化は寸法ズレの最大要因です。
設計変更による金型干渉リスク：形状変更時に金型のクリアランス調整やガイド、バリ対策が必要。
熱履歴が違う場合の加硫結果差異：新材料で加硫温度や時間を再評価し、不良条件から回避。

5. 成形条件の再設定と過去データの重要性

射出圧力・金型温度・ホールド時間の再検証：過去データとの乖離が原因となる不良傾向を分析し、条件を見直します。
バリゼロ・ショートショット防止：クランプ力・充填速度を適切調整し、層分離や未充填現象に対処します
試作初回バッチの寸法精査：寸法・外観・ゴム硬度などを検査し、成形パラメータへの反映を徹底。

6. まとめ：初回ロットでのトラブルを防ぐポイント

金型清掃・点検・摩耗確認などメンテナンスは再製作前の最重要項目
材料変更や設計変更時は収縮性や加硫条件に十分配慮
過去成形データを活用して条件を復元・調整し、初回ロット不良を回避
購買・設計部門も関与し、設計・調達・製造の連携体制でリスク低減を図る

さらに、こうした準備作業を丁寧に行ったとしても、久しぶりに金型成型を再開する場合には、成形条件の再設定や試作評価、金型メンテナンスなどに1日以上の工程を要するケースも少なくありません。そのため、久しぶりの成型の時は、通常の量産時よりも工数が大幅に増えることになり、人件費や設備のチャージ代が加算され、特に少ロットの場合は、以前と同じ価格での対応が難しい場合が多くあります。「以前と同じ価格で対応できる」と思い込んでしまうと、原価割れや納期遅延といったリスクにもつながりかねません。**調達や設計の段階からこの点を考慮し、必要に応じて見積やスケジュールを見直すことが重要です。

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