難燃ゴムの選び方完全ガイド:UL94・FMVSS302・EN45545規格とは? 調達・加工・実用事例でわかる最適素材
2025.09.25

はじめに:なぜ難燃ゴムが重要か
工業製品において「燃えにくい素材」を選ぶことは、品質以上に 人命安全 に直結します。
特にゴムスポンジやゴム押出品は、自動車・電車・建築設備・電子機器などのあらゆる分野で使われており、火災対策は必須の要素です。
難燃ゴムの規格には代表的に UL94(電気・電子機器向け)、FMVSS302(自動車内装向け)、EN45545(鉄道車両向け) があります。
本記事では、それぞれの規格の違いや適合基準、ゴムスポンジを含む難燃ゴムの調達ポイント、さらに実際の採用事例を紹介します。
UL94規格:電子機器・産業製品の標準
UL94は米国UL(Underwriters Laboratories)が策定した燃焼性評価規格で、プラスチックやゴム製品の「自己消火性」や「滴下物による延焼の有無」を評価します。
- HB(水平燃焼):最も緩い基準。一定の燃焼速度以下であれば合格。
- V-2 / V-1 / V-0(垂直燃焼):燃焼後の自己消火時間・滴下物の影響で区分。V-0が最も厳しい。
- 5VA / 5VB:さらに厳しい垂直試験。強い火炎でも短時間で自己消火し、穴が空かないことが求められる。
電子機器・電源部品・電気絶縁材などで必須となる規格で、日本国内でも多くの調達案件で指定されています。
FMVSS302規格:自動車内装用の燃焼試験
FMVSS302は米国運輸省が定めた自動車用の安全基準で、車内材料の燃焼速度を測定します。
試験は水平燃焼で行われ、102mm/分以下 であることが基準です。
シート、カーペット、トリム、パッキン材などの自動車内装部品に広く適用され、UL94ほど厳しくはないが、自動車用途では必須の規格 です。
EN45545規格:鉄道車両向けの欧州標準
鉄道車両向けの難燃規格として欧州で必須とされるのが EN45545(鉄道車両火災安全規格) です。
火災発生時の 発火性・煙濃度・有毒ガス発生量 を基準に、部材ごとに性能が規定されています。
- R1〜R26:用途区分(ケーブル、シーリング、壁材、座席材など)
- HL1〜HL3:危険度レベル(HL3が最も厳しい)
- 要求される試験には 酸素指数(LOI)試験、煙密度試験、毒性試験 などが含まれる
欧州を中心に、鉄道向けゴムパッキンやシール材の必須条件となっており、日本の鉄道車両でも海外輸出を視野に入れる場合はEN45545適合が求められます。
難燃ゴムスポンジ・押出品の調達ポイント
難燃性を確保するための基本要素は以下の通りです。
- 素材選定:シリコーン、EPDM、CR(クロロプレン)、NBR など。シリコーンは耐熱・自己消火性に優れる。
- 難燃剤:ハロゲン系、リン系、無機水和物(ATH、MDH)などを配合。
- 発泡構造:スポンジは開孔率・密度が燃焼挙動に影響する。
- 加工方法:切断面処理、ラミネート、表面コーティングで燃焼の起点を抑制。
- 認証書:UL認証番号、FMVSS302試験成績、EN45545 HL適合レベルを確認。
ケーススタディ:実際の適合事例
① 建築用パッキン(CRゴム押出品・シリコーンゴム押出品/UL94 V-0)
建築物の防火区画や扉まわりに使用されるパッキン。
CR(クロロプレンゴム)、シリコーンゴムスポンジを押出加工し、UL94 V-0 適合(相当) を取得した材料を採用。
- 特徴:自己消火性が高く、火源が離れるとすぐに燃焼が止まる。
- 加工:L寸カット、両面テープ貼り加工。
- 効果:両面テープ貼り、指定寸法でのカットにより作業性の工業。
② 車両向けケーブル保護チューブ押出品(車材燃試)
車両のケーブル保護用のに採用。窯加硫で治具を使用し成形することで、チューブの中空部分を潰さない形状で納入。
- 特徴:通常押出品では中空部分は潰れてしまうが、窯加硫により円形状を保ったままでの納入が可能。
- 規格:車材燃試合格。
- 効果:中空部分が潰れていないので、ケーブルの挿入が容易になり、作業効率が上昇。
③ 海外向け案件の隙間カバー(EN45545-2 )
輸出向けの案件で検討されているゴム製隙間カバー。
すき間カバー材で、EN45545-2 R1HL3相当材料、R1HL2適合材料 でお見積り。
- 素材:シリコーンゴム。
- 評価:コスト感の把握ができ、今後の開発の材料に。
- 効果:欧州規格に適合し、輸出車両の認証に貢献可能。
④ 鉄道車両向け二層押出パッキン(外ソリッド/内スポンジ構造)
鉄道車両向けのパッキン。
外側は耐摩耗性のあるソリッドゴム、内側はクッション性の高いスポンジゴムで構成。
- 規格:鉄道用材料燃焼試験(車材燃試)に適合。
- 特徴:外層はソリッドで耐久性を担保し、内層が衝撃吸収とシール性を確保。
- メリット:耐久性・難燃性・シール性を兼ね備え、パッキン部材として採用。
まとめ:難燃ゴムの選び方と調達戦略
- UL94:電子機器向け
- FMVSS302:自動車内装材向け
- EN45545:鉄道車両向け
いずれも用途に応じて要求レベルが異なります。
調達担当者は「規格」「使用環境」「コスト」のバランスを考慮し、試験成績書を伴う素材を選ぶことが重要です。
ゴムスポンジ調達ナビでは、UL94・FMVSS302・EN45545に対応したゴムスポンジや押出しパッキンの調達相談を承っております。難燃規格対応品をお探しの際はお気軽にご相談ください。
今すぐ無料相談はこちら👇