発泡EPDMと発泡CRの性能比較|防水パッキン用途での使い分けポイント
2025.10.21

防水パッキンやシール材として使用される「発泡ゴムスポンジ」。その中でも特によく使われるのが EPDMスポンジ と CRスポンジ(ネオプレンスポンジ) です。
どちらも耐候性・耐水性に優れていますが、用途によって向き不向きがあります。本記事では、それぞれの特徴を比較しながら、選定時のポイントを解説します。
■ EPDMスポンジとは
EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)は、耐候性・耐オゾン性・耐熱性に非常に優れたゴムです。発泡させたEPDMスポンジは、屋外環境でも長期間性能を維持できることから、屋外パッキンの定番素材 となっています。
【主な特長】
- 耐候性が非常に高い(紫外線や雨、熱に強い)
- 吸水しにくく、防水性が高い
- 広い温度範囲で使用可能(-40℃~+120℃程度)
- 耐酸・耐アルカリ性にも優れる
【代表的な用途】
- 屋外設備・筐体の防水パッキン
- 自動車のドアシール、トランクシール
- 太陽光パネル・空調機器・電気ボックスの防水材
- 建築部材の気密・防水パッキン
屋外に長期間さらされる用途では、EPDMスポンジが最も安定した選択です。
■ CRスポンジ(ネオプレンスポンジ)とは
CR(クロロプレンゴム、通称ネオプレン)は、耐候性に加えて耐油性・難燃性にも優れたゴムです。発泡させることで柔軟性とクッション性を兼ね備え、電気・機械系のパッキンとして幅広く使用されています。
【主な特長】
- 適度な耐候性・耐水性
- 軽い耐油性あり(NBRほどではないがEPDMより強い)
- 自己消火性(燃えにくい)を持つ
- 接着性が良く、両面テープ貼り加工にも適する
【代表的な用途】
- 電装機器の防水・防塵パッキン
- 制御盤・配電盤の気密材
- スポーツ用品(ウェットスーツなど)
- 鉄道・車両内装の防火・遮音材
特に「軽い耐油性」や「難燃性」が求められるケースでは、CRスポンジが有利です。
■ EPDMとCRの性能比較表
特性項目 | 発泡EPDM | 発泡CR(ネオプレン) |
---|---|---|
耐候性 | ◎ 非常に優れる | ○ 良好 |
耐水性 | ◎ 優れる | ○ 良好 |
耐油性 | △ 弱い | ○ やや強い |
難燃性 | △ 通常 | ○ 自己消火性あり |
耐熱性 | ○(120℃程度) | ○(100℃程度) |
圧縮永久歪み | ○ 安定 | ○ 安定 |
コスト | ○ 比的安価 | △ やや高価 |
用途例 | 屋外・建築・自動車 | 電装・機械・防火部材 |
屋外にさらされる部位ではEPDM、
屋内で油・火気のリスクがある部位ではCR、という使い分けが基本です。
■ 防水パッキン用途での使い分け実例
防水パッキンとしてはどちらの素材も多く使われますが、現場では次のような判断が一般的です。
- 屋外設備(例:分電盤、太陽光パネルの接合部) → EPDMスポンジ
→ 長期耐候性・耐紫外線性に優れ、経年劣化が少ない。 - 屋内設備(例:制御盤、機械内部の防滴部) → CRスポンジ
→ 電気機器内部では油ミストや火気の影響があるため、耐油・難燃性を重視。
また、テープ付き加工や打ち抜き加工にも対応しやすく、設計に合わせた形状カスタマイズも可能です。
■ コストと入手性のバランス
発泡EPDMは量産向けに広く流通しており、比較的コストパフォーマンスに優れています。
一方、発泡CRはロット単価がやや高めですが、難燃グレードや特殊物性グレードが豊富で、産業機器向けに根強い人気があります。
「防水+難燃」「防水+耐油」など、複合的な要求特性がある場合は、CRスポンジでの試作が選ばれるケースも増えています。
■ まとめ:防水パッキンにはEPDM、特殊環境にはCR
用途 | 推奨素材 | 理由 |
---|---|---|
屋外防水パッキン | EPDM | 耐候・耐水・耐紫外線性に優れる |
室内機器の防滴・防火用途 | CR | 難燃・耐油特性がある |
コスト重視の大量生産 | EPDM | 安定供給とコストのバランスが良い |
電装機器の安全設計 | CR | 自己消火性あり、電気安全性が高い |
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