【2026年4月2日続報】原油高と石化減産の影響が、「懸念」から「現実」に変わってきました
2026.04.03

3月17日時点では、原油高やホルムズ海峡をめぐる混乱の影響について、「今後、出荷調整や価格改定につながる可能性がある」との見方が中心でした。
★前回記事はこちら
中東情勢とホルムズ海峡による原材料供給の現状 | ゴム・スポンジ調達ナビ Produced by 共ショウ
しかし4月2日現在、弊社が把握している当社が個別に確認した範囲では、一部の石化系材料で、受注運用の見直しや価格条件変更に関する案内が出始めています。樹脂製品やゴム・スポンジを取り巻く調達環境は従来より厳しさを増しているとみられます。
公開情報と当社が個別に把握した情報を踏まえると、足元の動きは原油価格上昇のみならず、物流・配船・調達運用の変化など複数要因が重なっている可能性があります。
原油 → ナフサ → エチレン → 樹脂・ゴム原料 →最終製品という一連の供給網の中で、川上の不安定要因が川中・川下へ波及しつつある局面と考えられます。
※ 本稿は2026年4月2日時点の公開情報および弊社が個別に把握した情報をもとに整理したものであり、今後の価格・納期・供給を保証または断定するものではありません。個別の影響は製品、契約条件、在庫状況、用途等により異なります。
📖 4月2日時点の公開情報から見える状況
まず、Web上で確認できる主要報道・公表情報では、以下の3点が重要です。
1. 原油価格は上昇し、供給不安はなお解消していない
野村総合研究所によると、米国とイスラエルによるイラン攻撃後、WTI原油先物価格は攻撃前の1バレル67ドル程度から、3月9日には一時120ドル近くまで上昇しました。ホルムズ海峡は世界の原油供給の約2割が通過する要衝であり、日本は原油輸入の約94%を中東に依存し、その約8割が同海峡を通過しています。
このため、日本の素材産業にとって今回の問題は、単なる海外ニュースにとどまらず、原料調達に影響し得る重要な事象と考えられます。
一方で、日テレNEWS NNNは、日本には200日分超の石油備蓄があるため、直ちに国内で石油不足に陥る状況ではないと報じています。
ただし、これはあくまで国全体のエネルギー安定供給の話であり、個別の石油化学原料や誘導品の調達が平常通りに戻ることを意味するものではありません。
2. 国内石油化学メーカーでは減産対応が報じられている
東洋経済オンラインでは、三菱ケミカルが3月6日からエチレンプラントの減産を開始したと報じています。理由は、国産・輸入ナフサの調達減少が避けられないと判断したためとされています。
また、出光興産についても、ホルムズ海峡の封鎖長期化次第ではエチレン設備停止の可能性がある旨を取引先へ伝えていたと報じられています。
ナフサの調達不安が、国内の基礎化学品生産そのものを圧迫し始めていることがわかります。
3. 「完全遮断」でなくても、調達実務には悪影響が及ぶ可能性がある
公開情報では、一部タンカーがホルムズ海峡を通過しているとの報道もあり、全面的な物流停止とまでは言い切れません。
原油やナフサのような基礎原料は、価格だけでなく、輸送リスク・保険コスト・リードタイム・配船の不確実性が増した時点で、素材メーカー側が慎重な対応を取りやすくなります。
その結果、川下では
- 価格改定時期の前倒し
- 受注制限の厳格化
- 新規案件の受付見合わせ
- 既存顧客を優先した供給配分
が生じやすくなると考えられます。
4月2日現在、弊社が把握する範囲では、このような段階に入りつつあると受け止めています。
🧩 弊社が把握している範囲の状況
弊社が一部仕入先から受けている案内を整理すると、状況は3月17日時点より進んでいる可能性があります。
当社が確認した一部の案内では、新規案件の受注運用を一時的に見直す動きがみられます。
3月中旬の時点では、「出荷調整の可能性」「価格改定の可能性」といった表現が中心でした。
しかし現在は、一部メーカー・一部仕入先で、新規案件の受付をいったん見合わせる旨の案内が出ているケースがあります。
既存顧客向け供給の確保を優先する運用が強まっている可能性を示すものです。
新規採用や新規試作を前提に調達を進める場合、従来より条件が厳しくなる可能性があります。
またポリオレフィン・ポリエチレン製品では、4月下旬からの価格改定予定が案内されています。
関係製品でも比較的短い猶予期間で価格改定の案内が続いています。
メーカー担当者の話では、改定リストの整備が追いついていないケースがある一方で、改定時期そのものは先行して案内されているとの説明もあります。
そのため、一覧表の提示が遅れている場合でも、価格改定自体が見送られることを前提に判断するのは避けたほうが安全です。
さらに他部材では、大幅な改定率が提示された事例も確認されています
関連部材の一部では、個別案件ベースで大きな改定幅が示された事例もあります。
これれは一部事例でありますが、すべての製品に一律に当てはまるものではありません。
今回の値上げは一律ではなく、
- 原料依存度
- 在庫水準
- 契約条件
- 輸入比率
- 製造工程で使うエネルギー負荷
によって、製品ごとの差が大きくなっています。
「同じ石化系だから同程度の改定率だろう」と一律にみるのは、現時点では慎重であるべきです。
当社が個別に確認した範囲では、原材料段階で前年実績を参考にした供給調整が行われているとの説明を受けた事例があります
今後、急な増産案件やスポット調達は通りにくくなる可能性があります。
平時なら対応できた数量でも、非常時には「前年実績の範囲内か」が判断基準になりやすく、実需があっても確保できないケースが出る可能性があります。
ただし、すべての業界で同じ速度で進んでいるわけではありません
一方で同じナフサを原料としている製品でも、まだ可能性レベルの案内にとどまっている業界もあります。
理由は主に以下です。
- 原料在庫の持ち方が違う
- 契約改定のタイミングが違う
- 川上原料の占めるコスト比率が違う
- 需給のひっ迫度が違う
- 輸入品と国産品の構成が違う
したがって、「まだ通知が来ていないから大丈夫」と判断するのは避けたほうが安全です。
連絡の早い・遅いはあっても、石化原料への依存度が高い分野では、今後、価格や納期、受注運用のいずれかに影響が生じる可能性があります。
📋 いまの調達環境をどう見るべきか
弊社が把握する範囲で整理すると、4月2日現在は「供給不安の一部が、価格改定や受注制限の動きとして顕在化しつつある局面」といえます。
特に注意すべきは、次の3点です。
- 一部では、すでに価格改定の案内が始まっている
- メーカー側の情報整理が追いついていなくても、改定時期が先行して案内されるケースがある
- 数量確保は価格以上に難しくなる可能性がある
今、警戒すべきなのは「いくら上がるか」だけではありません。
必要なタイミングに、必要な数量が確保できるかが、より重要な論点になりつつあります。
🛠 今後の対応で重要になること
足元の状況を踏まえると、実務上は以下の対応が重要です。
1. 数量と時期を早めに固める
未確定案件のまま様子見が長引くほど、不利になる可能性があります。
必要数量・使用時期・優先順位を早めに整理し、確定前の見込み段階でも早めに仕入先へ共有しておくことが重要です。
2. 価格有効期限を必ず確認する
見積取得だけで安心するのは危険です。
価格改定前の注文期限、回答期限、再見積条件を必ず確認すべき局面です。
3. 代替材・代替グレードを並行で検討する
同一材質でも影響度に差が出ています。
用途に応じて、材質・密度・硬度・粘着仕様・加工方法などを含め、代替案を持っておく必要があります。
4. スポット調達前提の考え方を見直す
前年実績ベースの配分が始まると、急な追加調達は通りにくくなります。
継続案件ほど、平時より早いタイミングでの手当てが必要です。
✅ まとめ
3月17日時点では「値上がりや出荷調整の可能性」という見方が中心でしたが、4月2日現在はそれが一歩進み、一部で新規案件の受付見合わせ、価格改定の案内、数量配分の運用開始といった形で実務上の対応として現れ始めています。
公開情報でも、原油高だけでなくナフサ調達不安を背景とした国内石油化学の減産が報じられており、樹脂製品やゴム・スポンジを含む石化系素材の調達環境は、今後もしばらく不安定な状態が続く可能性があります。
弊社では、引き続き仕入先の最新動向を確認しながら、確認できた情報を可能な範囲で速やかに共有してまいります。
個別案件への影響は製品仕様、数量、時期、契約条件によって異なるため、詳細確認が必要な場合は個別にご相談ください。
お問い合わせはこちらまで👇
▶ https://gomusponge-navi.net/contact/
📌 参考情報
日テレNEWS NNN
「ホルムズ海峡封鎖なら原油調達に大きな打撃 ガソリンだけでなく電気・ガス代への影響も」
2026年3月1日掲載/2026年4月2日確認
https://news.ntv.co.jp/category/economy/a6a4c70b361f4f1bbf144993fe45d8b3
東洋経済オンライン
「ホルムズ海峡封鎖で国内の石油化学産業は減産の動き、停戦機運あっても企業のサプライチェーン見直しは急務か」
2026年4月2日確認
https://toyokeizai.net/articles/-/937516
Investing.com
「中東紛争拡大とホルムズ海峡封鎖で原油価格が急伸を継続」
2026年3月3日掲載/2026年4月2日確認
https://jp.investing.com/news/commodities-news/article-1443336
MBS NEWS
「【中東緊迫】ホルムズ海峡封鎖で原油価格高騰… ガソリンや食品など押し寄せる3つの“波”が家計直撃か」
2026年3月5日公開/2026年4月2日確認
https://www.youtube.com/watch?v=0HDginLBUhA
野村総合研究所
木内登英「イラン情勢を受けた原油価格上昇の日本経済・国民生活への影響」
2026年3月13日掲載/2026年4月2日確認
https://www.nri.com/jp/media/journal/kiuchi/20260313.html
