アンチモン規制がじんわり足元まで迫ってきている
2025.03.11

2024年8月15日、中国が希少金属アンチモン関連品目の輸出規制を発表
中国政府は半導体材料として使用される希少金属アンチモンの関連品目に対する輸出規制を中国は国家安全保障の理由から、9月から実施すると発表しました。この規制により、戦略鉱物の輸送が制限され、特に難燃剤の需要が増加しています。、アメリカなどの国による半導体輸出規制をけん制する狙いもあるとされています。
輸出規制の概要
中国商務省と税関総署は、「輸出管理法」に基づき、アンチモン関連品目の輸出に対して政府の許可を義務づけるとしています。輸出企業は最終的な利用者や用途を示し、審査を受ける必要があります。規制は2024年9月15日から実施され、違反した場合には処罰が科されるとのことです。
アンチモンの用途と市場
アンチモンは太陽電池の性能向上や鉛蓄電池の製造にも使用されており、軍事用途でも重要です。弾丸やミサイル、暗視ゴーグルなどに利用されています。主にアンチモナイトから採掘され、他にもリサイクルされた鉛蓄電池から回収されることがあります。アンチモンは、半導体材料や難燃剤として広く使用されています。三酸化アンチモンは耐火物の製造に使われ、ハロゲン化物難燃剤と併用されることで燃焼を遅らせる効果があることから、特に難燃剤としての需要が高く、中国ではその消費の50%以上を占めています。その他にも、電池やプラスチック安定剤としても利用されており、重要な工業材料です。
輸出制限の背景
中国は国家安全保障の観点から、アンチモン製品の輸出規制を強化しています。戦略鉱物としての位置づけが強まる中、特に軍事用途に使用される可能性もあるため、規制が進められています。難燃剤の需要が増加する一方、アンチモンの約5分の1は太陽光発電用のガラス製造に使用されています。また中国国内ではアンチモンの国内消費が増加しているため、輸出も減少している状況です。環境規制の強化により、2020年の生産量から2023年の生産量と比較すると減少しています。
規制の影響
新たな規制により、輸出業者はライセンスを申請する必要があり、これには通常2〜3ヶ月かかります。規制の実施に伴い、アンチモンの輸出量が減少する可能性が高いとされています。特に、昨年から続くガリウムやゲルマニウムの輸出規制と同様の影響が予想されます。
また弊社でも難燃押出スポンジのお見積りもりの際はお客様にアナウンスをするようにしています。現在新規お引き合いも対応可能ですが、今後はアンチモンの調達状況によっては価格の改定や生産が難しくなっていく可能性も考えられます。
2025年1月3日にアメリカもアンチモンの国内の採掘許可を出しており、脱中国の調達体制を整えてる状況です。