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ブチルゴム(IIR)とは?特性・用途・歴史・未加硫品との違いまで徹底解説

2025.05.29

ブチルゴム(IIR)とは?特性・用途・歴史・未加硫品との違いまで徹底解説

ブチルゴム(IIR)は、イソブチレンと少量のイソプレンを共重合して得られる合成ゴムで、特に気体の透過性が非常に低いことから、密閉性が求められる用途で広く使用されています。

ブチルゴムの特性と物性

主な特性

  • 低ガス透過性:他のゴムと比較して、気体や水蒸気の透過を極めて抑えることができます。
  • 耐候性・耐オゾン性:紫外線やオゾンによる劣化に強く、屋外での使用にも適しています。
  • 耐薬品性:酸やアルカリなどの化学薬品に対して優れた耐性を持ちます。
  • 電気絶縁性:高い絶縁性を有し、電気関連の用途にも適しています。

物性値(参考値)

  • 硬さ(デュロメータA):20~90
  • 引張強さ:5.0~15.0 MPa
  • 伸び率:100~800%
  • 使用温度範囲:-40℃~120℃
  • 体積抵抗率:10¹⁶~10¹⁸ Ω・cm

これらの特性により、ブチルゴムは多岐にわたる産業分野で利用されています。

ブチルゴムの長所と短所

長所

  • 優れた密閉性:低ガス透過性により、タイヤのインナーチューブや密封材に最適です。
  • 耐久性:耐候性や耐薬品性に優れ、長期間の使用に耐えます。
  • 柔軟性:低温下でも柔軟性を保ち、振動吸収性にも優れています。

短所

ブチルゴムの歴史と開発経緯

ブチルゴムは、1937年にアメリカのスタンダード・オイル社(現エクソンモービル)によって開発されました。第二次世界大戦中には、天然ゴムの供給不足を補うために大量生産が進められ、タイヤのインナーチューブなどに広く使用されるようになりました。その後、ハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴムや臭素化ブチルゴム)が開発され、加硫速度や接着性の向上が図られました。

使用を推奨する箇所や使用例

ブチルゴムは、その特性から以下のような用途で使用されています。

  • タイヤのインナーチューブ:低ガス透過性により、空気の漏れを防ぎます。
  • 電線被覆材:電気絶縁性と耐候性を活かし、電線の保護に使用されます。
  • 防振材・シール材:柔軟性と耐薬品性を活かし、機械の防振や密封に使用されます。
  • 医療用製品:耐薬品性と生体適合性から、医療用手袋や点滴チューブなどに使用されます。

通称名と主なメーカー

ブチルゴムは、以下のような商品名で販売されています。

  • JSRブチル:日本ブチル株式会社(現JSR株式会社)
  • Exxon Butyl:エクソンモービル社
  • Esso Butyl:エッソ社
  • Polysar Butyl:ポリサール社

■ 未加硫ブチルとは?

未加硫ブチルは、イソブチレン(C₄H₈)と少量のイソプレン(C₅H₈)を共重合させて得られるブチルゴム(IIR)の加硫前の状態です。
この段階ではゴム分子同士が架橋されておらず、柔らかく、粘着性・成形性に優れた状態にあります。


■ 特徴(物性)

特性項目説明
柔軟性非常に高く、手で簡単に曲げたり伸ばせる
粘着性わずかに粘着性を持つため、貼り付け作業などがしやすい
加工性押出・カレンダー・手加工に適しており、成形しやすい
ただし加工した機械や刃にその粘着性からブチルが残ることも
化学的安定性加硫前でも比較的安定。加硫処理をすることでさらに性能が向上
使用温度範囲加硫前は温度耐性が限定される(一般的には-20℃〜60℃程度)
安全性加硫剤・可塑剤を添加しない限り、比較的安定で低刺激

■ 加硫との違い(加硫後との比較)

項目未加硫ブチル加硫ブチル
柔軟性◎ 非常に柔らかい○ 適度な弾性
加工性◎ 加工しやすい△ 加工には熱と圧力が必要
耐久性× 摩耗・劣化に弱い◎ 長期耐候性に優れる
機械的強度× 低い◎ 高い(引張強さ・引裂き強さ)
気密性◎ 低透過性あり◎ 低透過性は維持
主な用途成形用材料、接着、仮止め、試作タイヤ、パッキン、防振材など実製品

■ 主な用途

未加硫ブチルは、加工性の高さや粘着性を活かして以下のような用途で使用されます。

1. シーリング材(仮止めや防水用途)

  • 建材の接合部や防水用途
  • サッシ回りの防音・防水シール
  • ケーブルグランドの密閉材

2. 成形前の素材としての用途

  • ゴム押出成形やプレス成形用の中間素材
  • モールド製品用のプリフォーム材料

3. 錆止め・腐食防止用途

  • 鋼材やパイプの接合部に貼り付けて防水・防錆目的で使用

4. 電子機器や自動車部品の仮止め

  • 組立工程での位置決め・接着補助

■ 未加硫ブチルの製品形状例

  • ロール(ロール状フィルム)
  • シート状(1mm〜5mm厚)
  • 粘着性テープ状(片面または両面)
  • ブロック状(成形用材料として)

未加硫ブチルはどんな場面で使うべきか?

未加硫ブチルは、成形前の柔軟性・粘着性が求められる作業や、一時的な密閉・仮止め・加工用途に最適です。反対に、耐摩耗性や耐熱性が求められる最終製品用途には、加硫済みのブチルゴムを使用することが一般的です。

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