【2025年上半期】火災・爆発事故&供給不安まとめ|ゴム・樹脂業界の最新動向と対策
2025.07.18

設計・開発・購買の現場では、「材料調達の安定性」と「製品安全性」の両立が年々難しくなってきています。
特にゴム・樹脂を扱う製品分野では、供給不安や現場のリスク管理が無視できない課題です。
この記事では、2025年上半期の実情を踏まえて、以下の2つの視点でまとめています。
- ✅ ゴム・樹脂製造現場における火災・爆発事故の最新状況
- ✅ 天然ゴム・合成ゴム・樹脂材料に関する供給不安とコスト変動
🔥 2025年上半期:火災・爆発事故の報告状況
現時点では日本国内での大型火災は発生していないものの、2025年2月9日には米国・ペンシルベニア州サージタウンのパーカー・ロード社(Parker Lord Corporation)工場で重大な火災・爆発事故が発生しました。
✅ パーカー・ロード社の火災・爆発事故(2025年2月9日)
- 場所:米ペンシルベニア州サージタウン
- 概要:工場内で発生した火災が爆発を引き起こし、少なくとも13名が負傷(従業員7名・消防隊員6名)。近隣住民に対して避難指示が出されました 。
- 詳細影響:施設全体が一時停止。爆風と火災による建屋の構造被害や煙の環境汚染の可能性も指摘されています 。
- 調査:米当局(OSHAおよび環境保護局)が設備、化学物質、手順等の調査。
🛠 粉塵爆発リスクは依然脅威
今回のパーカー・ロード社事故は可燃性粉塵に起因したものではなく、影響範囲や発生メカニズムが異なる可能性があるものの、製造現場では粉塵による爆発リスクも引き続き重大な注意点です 。
実際、過去には米国テネシー州のゴム工場で粉塵爆発が発生し、稼働停止や大規模な損害が発生したケースもあります(※テネシー州のゴム製造業者で爆発で負傷した労働者1人 )。
粉塵爆発は「静電気」「換気不良」「老朽設備」によって突発的に起こるため、
日常的な除塵・吸引・防爆対策を行っていない製造現場では十分注意が必要です。
📦 材料供給不安:価格上昇・納期リスクの背景とは
① 天然ゴム:構造的な供給不足が継続中
- インド・タイ・ベトナムなど主要生産国の収量が低調(2025年の天然ゴム世界市場は70万トン供給不足の見通し、コートジボワールに好機到来か(コートジボワール) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ)
- 2025年上半期も需要が供給を上回る見通しが継続中
- 国際価格も上昇基調(200円/kg → 312円/kg)
特に自動車・建築シール材・工業用ベルトなど天然ゴム比率の高い製品では、今後の価格転嫁リスクを含めた長期的な契約・材料見直しが急務です。
② アジア地域:天候と地政学のダブルリスク
- タイの洪水や熱波、ベトナムのモンスーン遅れが生産に打撃
- 中東の地政学不安により、原油高→合成ゴムの製造コスト増
合成ゴム(NBR、SBR、EPDMなど)を使用する製品においても、材料の急騰・納期の変動が現場に影響を与え始めています。
③ 合成樹脂:欧州での設備閉鎖が供給に影響
2025年6月、欧州の大手メーカーにおいてエポキシ樹脂の生産ライン停止が発表されました。
(2025 年のエポキシ樹脂市場の変化: YQXPOLYMER がヨーロッパのキャパシティ クロージャーに対応)
これにより、特にエレクトロニクスや機械構造部品に用いられる高機能樹脂の調達に不安定さが出始めています。
🧭 調達・設計現場に向けた実務アドバイス
課題 | 対策ポイント |
---|---|
粉塵による火災・爆発 | 工場設備の定期除塵、防爆エリアの再評価 |
原材料の供給不安 | 在庫水準の見直し、複数ルートでの材料確保 |
コスト上昇 | 代替材・代替形状の設計支援、長期契約化 |
エポキシ樹脂不足 | 他の高耐熱接着剤・樹脂への置き換え検討 |
🔍 当社ができること
当社では、用途・環境・性能要件に応じた材料の代替提案や試作対応を随時行っております。
- 材質切り替えやメーカー切り替えによるコストダウン
- 耐候・耐油・耐熱特性の最適なマテリアル選定
- 加工性を踏まえた設計調整のアドバイス
調達トラブルの“前に”動くことが、技術者・購買担当者にとって最も重要な行動の一つです。
✅ まとめ:変化を先読みし、設計・調達で先手を打つ
2025年上半期、ゴム・樹脂業界は事故リスクは落ち着いている一方で、材料リスクは深刻化しています。
今後も原料市況・環境変化に応じた設計変更や調達見直しが求められる局面が増えるでしょう。
「この材料、いつまで使えるだろう?」
「コスト下げたいけど性能は落としたくない」
そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
📩お問い合わせはこちらから → お問い合わせ | ゴム・スポンジ調達ナビ Produced by 共ショウ
現場の課題に寄り添い、“使える”素材提案と情報提供を今後も続けてまいります。