中東情勢とホルムズ海峡による原材料供給の現状
2026.03.17

2026年2月末、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切りました。1 これにより、世界の原油輸送の約2割が通過するホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、原油価格はわずか2週間足らずで1バレル67ドルから120ドル近くへと急騰しています。
この情勢は、ゴムスポンジの調達にも直接的な影響を及ぼしはじめています。
なぜゴムスポンジの調達に影響するのか
ゴムスポンジの主原料であるEPDMゴムやウレタンフォームは、石油化学製品の一種です。その製造にはナフサが欠かせません。
ナフサは原油を精製して得られる石油化学の基礎原料で、日本はその大部分を中東からの輸入に依存しています。ホルムズ海峡が封鎖されると、このナフサの輸入が滞り、エチレンをはじめとする基礎化学品の生産量が低下します。
実際、化学大手の三菱ケミカルは2026年3月6日よりエチレンプラントの減産を開始しており、「国産・輸入ナフサの調達減少が避けられないと判断した」と公式に説明しています。エチレンはポリエチレン・ポリエステルなどの原料となり、最終的にゴムスポンジや梱包材などの製品に行き着く素材です。
つまり、川上(原油)→ナフサ→エチレン→樹脂・ゴム原料→ゴムスポンジという流れ全体が、今回の情勢によって圧迫されている状況です。
調達・価格への具体的な影響
現時点で懸念されている主な影響は以下の通りです。
- 原材料価格の上昇:原油高がナフサ価格に転嫁され、ゴム・スポンジ原料のコストが上昇
- 入荷リードタイムの長期化:タンカーの迂回航路利用や供給量の制限により、納期が読みにくくなっている
- メーカーによる受注制限:供給量が限られるため、既存顧客への安定供給を優先し、新規受注やサンプル対応を一時停止するメーカーも出始めている
- 数量制限の可能性:通常発注量を超える注文については、対応困難となるケースが発生しうる
今後の見通しと対応について
野村総合研究所のエコノミストは、原油価格の先行きについて複数のシナリオを示しており、停戦・情勢緩和がない限り高止まりが続く可能性が高いと指摘しています。一方で、一部タンカーがホルムズ海峡を通過できているとの情報もあり、完全な遮断には至っていない面もありますが、予断を許さない状況が続いています。
ゴムスポンジの調達をご検討中の方は、以下の点を早めにご確認されることをおすすめします。
- 在庫の前倒し確保:納期遅延リスクに備え、余裕を持った発注タイミングへの切り替え
- 代替材料・グレードの検討:原料種別によって影響度が異なるため、用途に応じた代替品の事前確認
- 数量・規格の早期確定:サプライヤー側の受注制限が広がる前に、必要スペックを固めておく
引き続き、最新の調達状況については随時情報をお届けしてまいります。
- ホルムズ海峡封鎖なら原油調達に大きな打撃 ガソリンだけでなく電気・ガス代への影響も|日テレNEWS NNN(2026年3月1日) https://news.ntv.co.jp/category/economy/a6a4c70b361f4f1bbf144993fe45d8b3
- ホルムズ海峡封鎖で国内の石油化学産業は減産の動き、停戦機運あっても企業のサプライチェーン見直しは急務か|東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/937516
- 中東紛争拡大とホルムズ海峡封鎖で原油価格が急伸を継続|Investing.com(2026年3月3日) https://jp.investing.com/news/commodities-news/article-1443336
- 【中東緊迫】ホルムズ海峡封鎖で原油価格高騰… ガソリンや食品など押し寄せる3つの”波”が家計直撃か|MBS NEWS(2026年3月5日) https://www.youtube.com/watch?v=0HDginLBUhA
- イラン情勢を受けた原油価格上昇の日本経済・国民生活への影響|野村総合研究所 木内登英(2026年3月13日) https://www.nri.com/jp/media/journal/kiuchi/20260313.html
